どうも、YUTR0Nです!今回は数多ある造形サービスの中の一つ、Justwayについて紹介していこうと思います。カタカナ読みするならジャストウェイですね。
以前は軽く触れる程度だったので今回はみっちりと。
印刷方式
まずは3Dプリント(積層造形)についておさらいを。3Dプリントは、デジタルな3Dデータ(主にSTLや3MF形式)から立体物を造形する技術です。プラスチックを素材とする場合、代表的な方式に以下のようなものがあります。
- FDM(熱溶解積層): 溶かした樹脂フィラメントをノズルから押し出して一層ずつ積み上げる方式。比較的安価で材料も豊富ですが、表面に積層痕が残りやすく、形状によってサポート材が必要です。ストラタシス社の商標になっているのでFFFと呼ぶほうが本来正しいですが一般にはFDMと呼ばれることのほうが多い印象ですね。
- SLA/DLP(光造形): 感光性樹脂にレーザーや光を当てて硬化させる方式。高精細で滑らかな表面になりますが、材料は樹脂に限られ、強度はやや低めです。
- SLS/MJF(粉末焼結): ナイロンなどの樹脂粉末をレーザーで焼結(または熱融着剤で接着)する方式。サポートが不要で機能部品に向く強度がありますが、表面はザラザラした質感になります 。
これらの方式ごとに特徴があり、求める仕上がりや用途に応じて使い分けます。例えば試作品で精細な見た目重視ならSLA、機能検証ならSLS系、安価にざっくり形状確認ならFDMといった具合です。ただし形状や用途に寄るのであくまで個人的な感覚です。データ形式は基本的にSTLが標準ですが、フルカラー造形の場合はOBJ+テクスチャなども使われます。とはいえ数があるとSLSやMJFの方が安くなるケースもあるので一概にFDMとは言い切れません。もちろん材料の制限もあるのであくまで参考程度に。
Justwayの3Dプリントサービスの特徴
それでは本題のオンラインサービス比較に入ります。Justwayですが、他の業者と比較すると多彩な方式と素材に対応した3Dプリントを提供しています。公式サイトによると、主要な印刷方式のSLA、SLS、MJF、DLP、FDM、さらには金属用のSLMまで網羅しており、100種類以上の材料が選べるとのこと。

プラスチック系だけでもABS、PLA、ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ゴムライク(TPU)やエンジニアリングプラスチック(PEEK)など幅広いです。光造形用の樹脂に至っては、透明樹脂や高耐熱樹脂、弾性樹脂など多数のラインナップがあり、Formlabs製レジンなどブランド材料にも対応しています 。
金属3Dプリントの素材が多いのも見逃せないところ。

また印刷物の素材にはよりますが多種多様な後加工オプションも存在します。

Justwayの強みの一つは素材の充実ぶりですが、魅力の一つはユーザーが公開した造形事例や実物写真、レビューを見ることができるところにもあると思います。実際の仕上がり品が確認できるので、「このサービスで頼むとどんな感じになるのか?」という不安を減らせます。こうしたコミュニティ機能を持つサービスは珍しく、Justwayならではの特徴と言えるでしょう。レビューをじっくり見ていくと…面白いことに気が付くかもしれません!


さらに品質面でもJustwayは安心感があります。製造業界の国際規格であるISO9001およびIATF 16949(自動車業界の品質マネジメント規格)を取得済みとのことで、品質管理体制が整っていることが伺えます。オンライン発注系サービスでIATF16949を掲げているところは稀で、産業用途の試作や品質重視の案件でも任せやすいポイントです。安価なサービスは数あれど、「ちゃんとした品質基準で作ってくれるの?」という不安に対し、Justwayはこの認証取得で応えているわけですね。
ISO 9001は、組織が提供する製品やサービスの品質を管理・向上させるための国際規格で、全世界で170ヵ国以上、100万以上の組織が利用しています。(参考)
次にサービスのUI(ユーザーインターフェース)や発注のしやすさに注目してみます。実際にオーダーする際の手順や使い勝手は、初めて利用する人にとって大切なポイントですよね。
Justwayではウェブ上で完結するオンライン見積・注文プラットフォームが提供されています。手順はシンプルで、まずサイト上の「Get instant quote(即時見積もり)」ボタンから3Dデータをアップロードします 。

対応ファイル形式はSTLやSTEPなど一般的なものに幅広く対応しています。ファイルをアップすると、自動的に造形方式や材料を選択できる画面になり、例えば「SLAで標準樹脂」「FDMでABS」など方式別に見積もり金額がリアルタイム表示されます。希望の方式・素材を選び、数量や仕上げ(必要なら塗装やメッキなどのオプションも指定可能)を設定すればカートに追加できます。

その後、配送先情報を入力し決済すれば発注完了です。注文後はオンラインで製造状況をトラッキングでき、履歴管理やリピート発注も容易になっています 。全体として直感的で使いやすく、UIは英語表記ではありますが難しい英語はないので操作に戸惑うことは少ないと思います。将来的に日本語対応が進めばさらに快適になりそうです。
改善されたらいいなと思う点はほかの競合サービスでは自動見積できるデータでもエラーしてしまうところですね。今回は参考までに3DBenchyのSTLデータを投げてみました。自動でレンダリングがかかった場合は自動見積もりいけますがそうでない場合はマニュアル見積もりの回答を待つ必要があります。大体翌日には来るので早い方ではあります。DMM.makeなどもリアルタイムでは表示されなかったりするのでここは似たり寄ったりですね。

Justwayのコストはぶっちゃけどうなのか?
まずコスト重視なら、中国系のJLCPCB(JLC3DP)が魅力です…と言いたいところですが案外そうではありません。1個3DBenchyを作るだけならJustwayは150円換算で見た場合国内のDMM.makeよりは少し安いものの製造と発送でかなり時間のかかる見積になっています。実際の製造・発送は早いかもしれませんがちょっと納期が長いですね。これならJLCPCBでいいやとなってしまうお値段感。もちろん材料の幅は広いのでJLC3DPにない素材なら話は別ですが。
サービス | 材料 | 価格 | 送料 | 手数料 | 合計 | 発送目安 |
---|---|---|---|---|---|---|
Justway | MJF HP12 Nylon Black | $12.45(1,867円) | Global Standard $14.53(2,179円) | PayPal $1.51(226円) | $28.49(4,273円) | 製造7-8日 + 配送6-9日 |
JLC3DP | MJF HP12 Nylon Black | 1,048円 | OCS Express 296円 | なし | 1,344円 | 製造72時間以内発送目安4-6日 |
DMM.make | MJF PA12 Black | 5,404円 | 込み | なし | 5,404円 | 3-10日 |
ところが…1個では微妙ですがBenchy100個だとどうでしょうか?かなり数量での割引が効きました。製造は相変わらず7-8日ですがコストが半分以下に。これはうれしいですね。こちらも$1=150円換算で計算しています。
サービス | 材料 | 価格 | 送料 | 手数料 | 合計 | 発送目安 |
---|---|---|---|---|---|---|
Justway (100個) | MJF HP12 Nylon Black | $227.97(34,195円) | DHL $51.23(7,684円) | なし | $279.2(41,880円) | 製造7-8日 + 配送2-4日 |
JLCPCB (100個) | MJF HP12 Nylon Black | 104,723円 | OCS Express 2,880円 | なし | 107,603円 | 製造120時間 + 配送4-6日 |
総合的に見て、プラスチック中心の3Dプリントサービス選びでは、「安さ」「速さ」「素材の多様さ」「品質」「使いやすさ」のバランスを考える必要があります。Justwayはある程度数量を作る場合かなりよさそうな候補です、ぜひ次回の製品・試作品づくりにはJustwayを候補に入れてみてください。きっとその強みを実感できるはずです。
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